パワハラなのか指導なのか?/新人看護師へのしごき問題を解明する

それってパワハラじゃないの?

新人看護師が最初に直面する問題は
仕事が覚えられない、こなせない自分への
苛立ち、自責の念です。

 

わずか3か月とか半年で看護技術を一通り習得できるわけが
ありません。というか無理な話で、それが出来れば
誰でも看護師できちゃいますから、野菜の促成栽培じゃないんです。
現在の看護師不足問題も、裏を返せばどれだけ看護師の育成が難しいかと
いうことに直結していますね。

 

さて、本題に入ります。
最近問題になっているのが、新人看護師の育成問題です。
プリセプター制度が機能しているかという問題です。

 

その指導は正当なものなの

ズバリ本質を突きますね。
その指導はパワーハラスメントやイジメではないかということです。

 

多くの看護現場ではその境界線はとても曖昧です。
曖昧な言葉でいうと、「しごき」とも言えます。

 

学生時代に経験したり、見聞きしたことがあるはずです。
運動部や強豪部活のしごき。

 

部活顧問や監督、先輩からのしごきですね。
愛のあるしごきはOKだが
感情的まかせのしごきはダメとよく言われます。

 

では、あなたが受けている職場での仕打ちは
パワハラなのでしょうか、しごきなのでしょうか?
そこに妥当性はある?
という観点で見ていきます。

 

個人の主観じゃないのという反論を持つ人は
パワハラの加害者になる要素を持っていますので
ご注意くださいね。

 

これに一つでも当てはまれば真っ黒です。

客観的なパワハラを構成する要件は
厚生労働省から2012年に出されています(キリッ)。

 

1、暴行・傷害(身体的な攻撃)
2、脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
3、隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
4、業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
5、業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
(過小な要求)
6、私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)

 

もっと具体的にいうならば
厚生労働省指定法人「21世紀職業財団」が出している具体例

 

「公開叱責(多数の面前での叱責)、人格否定」
「感情を丸出しにするモンスター上司、給料泥棒呼ばわりする」
「退職勧奨や脅し」
「無視の命令」
「困難な仕事を与えて低評価にする、過剰なノルマ」
「パワハラの訴えを聞き流す」

 

(以上、wikipediaより抜粋)

 

21世紀職業財団のほうが具体的で分かりやすいですね。

 

これって看護現場では日常茶飯事

あなたも経験ありませんか?
よく新人看護師さんから聞かされる悩みにこういうものがあります。

 

日勤で入ったら日付が変わるまで働かされ、残業代も出ない。
 
患者さんの前や他の医療職さんの面前で叱責される。
 
1年も持たないで辞めても、雇ってくれるところないわよ、と脅し
 
あの子は嘘をつくから注意してと、周囲にいいふらされる。
 
業務範囲以上、または関係の薄い看護技術での課題やレポートの課される。
 
主任や師長にパワハラを訴え出ても、それは指導の一環だと聞き流される

 

もう、挙げていくときりがありません。
これらの行為は刑法上の刑事責任が問われるもの、
民法上の損害賠償請求が可能なものが含まれています。

 

れっきとした違法行為、違法ではなくてもコンプライアン軽視の言動なのです。

 

上場企業のなかでも有名企業といわれるところでは
パワハラの防止対策室や相談室、産業医や心理カウンセラーのケアが完備され
通報窓口や労働組合での対抗策も講じられています。

 

しかし、それはほんの一部で大企業でもまったく無関心なところや
中堅、中小企業ではパワハラと   いう言葉さえ、議論できる状況にはありません。

 

もちろん、医療機関でも先進的な総合病院や大学病院の一部で
コンプライアンスやパワハラ対策が取られているのみで、
ほとんどの病院ではパワハラを相談する体制などはないのが現状です。
あなたの病院にはありますか? パワハラを相談できるところが。

 

結果的に、新人看護師はマインドコントロールされたような状態になって、
厳しい指導に耐えられない自分が悪いんじゃないかという自責の念に駆られるように
なってくるのです。

 

こういう状態は黄色信号ですよ

通勤時になると涙が出る
食事が喉を通らない
朝、なかなか起きられない
夜、寝付けないので睡眠導入剤のお世話になっている。

 

もう、黄色信号が出ていますね。
けれど、新人看護師って頑張り屋が多いんです。

 

私が悪いんだ、自分のせいなんだと
自分にウソをついて
周囲に無理無理合せていくことで
どうにか精神バランスを取ろうとすると
さらに体調は悪化します。

 

適応障害ですね。
適応障害から鬱状態に移行する看護師もいます。
このあたりは医療関係者には釈迦に説法ですが、
意外に無頓着な人が多いです。

 

せめて、適応障害の段階で
環境調整をしないと手遅れになる場合があります。

 

環境調整は重要キーワードです

環境調整とは
これもご存じだと思います。
職場環境を変えることです。

 

おそらく、パワハラを上司に訴え出ても
放置されるような医療機関は
もし、仮に配置転換をさせてくれても
そう長くは勤められる環境にはありません
同じ病院で移動しても、あなたに根性がなかったという
見方をされる可能性が高いのです。

 

はっきりと言いますね。
転職をしたほうがいいと考えます。
看護師勤務歴半年未満でも1年未満でも
探せば転職先はいくらでもあります。

 

新人看護師の転職先として
人気があるのは
回復期リハやクリニックです。

 

急性期病棟に比べて回復期病棟は時間の流れがゆっくりなので
看護師も落ち着いて仕事を遂行していくことができます。

 

クリニックは、夜勤がありませんね。

 

他にも人間関係だけが悪くて辞めるけれど
しっかりと新人教育をもう一度受けたいというのなら、

 

第二新卒でもプリセプター制度を受けられる
しっかりとした新人研修制度の整った
面倒見のいい総合病院がいいと思います。

 

大事なことなので繰り返します!

もう一度繰り返します。
あなたは悪くありませんよ。
悪いのはあなたに執拗なパワハラを仕掛けておいて
パワハラだと思っていないプリセプターや先輩看護師
主任、師長なのです。

 

極論するなら、そういう文化を放置している
病院の責任者や管理職、事務局ですね。

 

先のパワハラの構成要件と具体例を見てください
どちらに非があるかは明らかです。

 

転職先さがしにヒントになる
記事はこちらですので
新卒看護師辞めたい
新人看護師を悩ませるお礼奉公 
ご参考にしてみてください。